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学校スタッフリレーエッセイ「わたぼうし」

201611月】「「lalala…」をどう歌う?

山川智馨

インターネットで動画をたくさん観ることができる便利なこの時代。私はオーディション番組やレッスン風景を映した番組が大好きで、学生の頃から夜更かししてはよく観ていました。アニーの子役オーディションや宝塚受験といった有名なものをはじめ、素人(中にはプロより上手いのでは?という人たちも)や地下アイドルがデビューを目指すものまで色々ありますが、先生の厳しい言葉は「私も言われたことあるな~」と共感を覚えることも多いですし、それによって皆の「表現」への姿勢や歌声がだんだん変わっていく姿には、いつも惹きこまれてしまいます。

さて、何年か前に偶然見つけたある動画で、とても印象に残っているものがあります。それは芸能事務所に所属している子どもたちへの歌のレッスンだったのですが、わずか8~10歳の子どもたちに次々と容赦ない言葉を先生は投げかけます。子どもとしてではなく、プロとしてのレッスンに皆必死で食らいついていましたが、その中にとても歌の上手な子がいました。恐らくその子は普段から1番の優等生だったのでしょう、自分のパートを見事に歌ってみせました。するとそれを聴いた先生は、「あなた、とっても上手いわね。でもそれだけ。『私、上手いでしょ』って言ってるだけなの。この歌詞の世界をイメージしたことある? なんでここに『lalala…』って入っているんだと思う? この歌詞の中の女の子はね、この時の気持ちをどんな言葉でも言い表せないの。ここで『lalala…』以上にふさわしい言葉はないの。だからここは特別な気持ちで歌わないといけないの。決して自分の力を見せつけるように歌ってはいけないのよ。」とその子に向かって言いました。そしてこれまで『la』や『wow』といった言葉に意味なんて考えたことのなかった私は、この言葉にハッとさせられました。歌詞にはそれを作った人の思いが込められているのは当然分かっていたつもりでいましたが、単語やフレーズだけでなく一文字たりとも意味のない言葉なんてないということを改めて感じました。

この先生の言葉は、「音楽」や「表現」の授業を担当する教員として、また、1人の演奏者として、いつでも心の真ん中に持っていたいものです。学生の皆にどう上手に伝えられるか、日々模索しながら…。


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