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学校スタッフリレーエッセイ「わたぼうし」

20149月】「ヤマボウシ

平野美緒

学校の庭に1本のヤマボウシの木が植わっている。18年前の学校設立の際に植樹されたものである。ヤマボウシには特有の“育ち方”があり、しっかりと根や枝が張らなければ実はもちろん花が咲くことがなく、場合によっては花が咲くまでに5年以上かかるといわれている。学校のヤマボウシが初めて多くの実をつけるまでには、植樹してからなんと10年の歳月を要した。この年、学校も開設10年目を迎え、節目を記念して立ち上げた学校同窓会を「やまぼうしの会」と名付け、多くの卒業生や学校関係者、在学生が学校に集い、第1回記念研究大会を開催した。

そんな中、この第一回記念研究大会を「同窓会なんて面倒くさい。関係ない」という理由でボイコットした当時1年生の男子学生がいた。彼にとっては、日々展開される日常に目を向けることで精一杯で、「同窓会」という時間的にも空間的にも広いネットワークの中で学ぶというイメージが持てないのだろうと当時の私は考え、彼に正論を押し付けて、一方的な“お説教”をしてしまったことを今でもよく覚えている。

そして、それから8年後の今、当時私の“お説教”を受けた彼が、現「やまぼうしの会」の会長を務めている。先月は会長が中心となって企画した「やまぼうしの会」主催の研修会が催された。在学生、卒業生、教職員が一緒に学びあうとても有意義な時間であった。その研修会の後、彼から「この学校が僕の学びの原点だから、この学校で“同窓会”を通して、みんなでもっと学びあいたい」という話があった。

8年間という長い歳月の間、真摯に子どもや仕事と向き合ってきた彼の言葉には重みと実感があり、時間をかけながら土壌にしっかりと根を張り枝葉を茂らせ、そして大きな実をみのらせていることに深い感銘を受けた。8年前の私自身が“目前の学び(成果)”にしか目が向いていなかったのかもしれない。地中でゆっくりしっかり根を張っていくヤマボウシのように、学生の自身の力を信じ、焦らず必要な環境を提供しながら、学生の学びを支援していきたいと改めて実感した。

今夏も学校のヤマボウシは多くの実をみのらせている。


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