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学校スタッフリレーエッセイ「わたぼうし」

20147月】「笑顔

高橋千秋

私は笑顔が苦手です。苦手ですが、笑顔が似合う人でありたいと思っています。

笑顔が決定的に苦手になったのは、学生時代の就職活動の時でした。「君の笑顔は逃げの笑顔だ。笑顔でごまかそうとしている。」と初めての会社訪問の時、人事の方に指摘されました。確かに、「どうにか就職しないと!」という思いだけが強く、ガチガチに緊張してしまい、話の内容が理解できていないのに、こわばった笑顔で生返事をしてその場をやり過ごそうとしていました。もともと苦手だった笑顔を味方に出来なかったこの時の経験が、さらに苦手意識を強くしました。

その後、縁あって就職した職場では、外出先でお客様に接する仕事だったので、いわゆる営業スマイルは覚えました。一方、社内では社会人1年生の初めてづくしで常に必死で、 いつも難しい顔をしていました。そんなある日、職場の先輩に「声がかけにくいよ」と言われました。その先輩は、とても笑顔の素敵な方でした。私より当然仕事に慣れていて余裕があり、おっとりとした性格だからこその笑顔で、私には真似できないと思っていました。しかし、職場の環境に慣れてきて、客観的に自分や周りを見る事が出来るようになってきた時、色々な事に気付きました。自分は笑顔を見せない事で一生懸命さをアピールしようとしていた事。その先輩は、社内の社員とやり取りが多い部署なのに、忙しい時でも笑顔で対応している事。私自身、その笑顔に助けられた事がたくさんあった事。だんだん自分も先輩のようにありたいと思うようになり、仕事中の笑顔に対する意識が変わっていきました。

それから職場を変わる経験を何度かしましたが、必死に仕事を覚える時期でも、社内外を問わずに相手に笑顔で接することを心がけるようにしました。そうすると、相手も気持ち良く接してくれるし、不思議と自分の心にも余裕が生まれるようになりました。この学校で働くことになった時も、慣れない事や初めての事が多く大変でしたが、学生さんに対して笑顔で対応しようと心がけました。そうして1年が過ぎた卒業式の日に、思いがけず卒業生から寄せ書きをいただきました。そこには私の笑顔に対する感謝の言葉がたくさん書かれていました。うれしくてこっそり泣きました。苦手だった自分の笑顔を少し好きになれました。

私は社会人になってから、笑顔について学ぶことや考えさせられる事が多かったのですが、福祉の専門職を目指しているこの学校の学生のみなさんは、授業や実習で笑顔の大切さや重要性を十分に学び実感されていると思います。ぜひ社会に出てからも、相手に対する効果だけでなく、自分のためにも笑顔を大切にして下さい。かく言う私も、4月から新しい部署で仕事をすることになり、忙しい日々の中で笑顔を忘れがちでした。明日からまた、学生のみなさんと笑顔で接したいと思いますので、みなさんも素敵な笑顔を見せてください。


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